通常時とは異なる顧客とのエンゲージメントを高める方法が求められる
コロナ禍により外出や実店舗での買い物が制限される中、スポーツブランドは顧客との関係性を見直す必要に迫られています。ソーシャルメディアの投稿を見ていると、顧客とのエンゲージメントを高めた企業と、そうでない企業が見受けられました。米ファッションメディアFootwear Newsは、スポーツブランドにおけるInstagram施策の評価を発表しています。
マスク製造などの社会貢献についてInstagramを通して顧客に伝える成功例
米ナイキ社は、顧客や従業員の健康に配慮して、いち早く直営店舗の閉鎖を決め、Instagramでは自宅にとどまるよう呼びかけました。また、フィットネスアプリTraining Clubのプレミアムプランを無料で提供し、自宅での運動を促進する取り組みを行っています。さらに、大学と提携してフェイスシールドの製造に乗り出したり、新型コロナ対策として1500万ドルの寄付を行ったりと、社会貢献性のある積極的な活動には、業界から賞賛が集まりました。
米ニューバランス社も同様に、マスクの製造や寄付によって評価を高めています。Instagramでは「昨日までは靴を作っていた。今日はマスクを作る」との投稿を行い、パンデミックに対する貢献を効果的にアピールしました。
Instagramで語るメッセージと一貫性のない経営判断は批判の的となり得る
独アディダス社は、Instagramで「#HomeTeam」のハッシュタグを使い、アスリートが自宅で楽しく運動する様子を公開するInstagramキャンペーンを行いました。一方で、店舗閉鎖に否定的な見解を示す社内メールがソーシャルメディア上で出回ってしまい、非常事態を理解していない方針だとして批判を受けています。
まとめ
新型コロナ危機の中では、Instagramは商品を販売促進する場ではなく、顧客に対してメッセージ性のある投稿を行うのに使われています。そのメッセージとは一貫性のない経営判断を行うと、ソーシャルメディアでの「炎上」につながってしまうケースが見受けられました。通常の販売促進活動が行えない状況では、Instagram施策と共に、マーケティング戦略や社会貢献活動を総合的に検討する必要があります。
参考資料
The Athletic Brands That Are Winning and Losing During the Coronavirus Crisis