YouTubは TV向けに「30秒のスキップできない広告」を発表しました。これによりどのような影響がでてくるのでしょうか？

テレビ業界の広告主やメディアが集まって行われるアメリカのイベント「Upfronts 2023」において、YouTubeが30秒間の「スキップできない広告」を導入すると発表されました。この情報が日本で報道されるや否や、SNSでは賛否両論が巻き起こり、Twitterではトレンド入りするなど大変話題になりました。詳しくみていくと、この広告が導入されるのは限られた条件下であることがわかりました。

YouTubeの広告には現在さまざまな形態がありますが、今回の新サービスが導入されるのは「YouTube Select」という、上位5%の優良チャンネルに配信されるテレビ向け予約型広告においてとのことです。つまり、スキップ不可の30秒広告が表示されるのは、ネット対応テレビでの広告が対象となっており、全体の5%のチャンネルに限定されるということです。イメージとしては、テレビ番組中にCMが流れるのに近いかもしれません。

YouTubeは、以前も30秒のスキップできない広告を導入していましたが、2018年に廃止されました。当時、YouTubeの視聴者のほとんどはスマホで視聴しており、30秒間という時間は長すぎるとの評価になった経緯があります。それに対して、通常テレビCMは録画視聴の場合はスキップできますが、リアルタイム視聴においては、広告を丸々スキップすることはできません。

YouTube上で「スキップされない30秒広告」が始まれば、広告を出す企業にしてみれば、テレビCMと同じ素材を流用しやすくなり、スキップされずに確実に視聴してもらえるというメリットがあります。今回の導入に対してユーザーの反応はさて置き、今後この広告枠が当たり前になった場合には、広告主にとっては、広告制作・広告出稿が効率的に行いやすくなるとも言えます。